「バボ宣言」(1983年)とは

    「バボ宣言 (馬鹿宣言, Declaration of Idiot aka Declaration of Fools, 바보선언, Baboseon-eon, 1983)」は、1983年に公開された韓国映画で、イ・ジャンホ監督の独特な演出が光る作品です。この映画は、軍事独裁時代の韓国社会を背景に、社会から疎外された若者たちの苦悩や反抗を描いています。映画はロードムービーの要素を持ちながらも、深い社会批判と詩的な映像美で観客を魅了します。

    「バボ宣言」は、イ・ジャンホ監督が前作「어둠의 자식들(暗黒の子供たち)」に続いて作り上げたもので、社会の底辺に生きる人々を主題にしています。彼らが直面する現実の厳しさと、それに対する無力感が鮮烈に描かれています。

     

     

    ストーリーとテーマ

    映画は、バボ(愚か者)と呼ばれる足の不自由な青年ドンチル(キム・ミョンゴン)と、彼の友人で少し間の抜けたタクシー運転手ユクドク(イ・ヒソン)、そして偽の女子大生として生計を立てる売春婦ヘヨン(イ・ボヒ)の三人が、無意味にも見える旅を通じて織り成す物語を描いています。彼らの旅は、単なる移動ではなく、社会からの疎外感や自分自身の存在意義を見つけるための試みでもあります。

    この映画は、1980年代の韓国社会における軍事独裁や産業化による急速な変化の中で、社会の底辺にいる人々がどのように生き抜いていたかを描いています。また、物質主義とそれに伴う価値観の崩壊に対する鋭い批判が込められています。

    イ・ジャンホ監督のビジョン

    イ・ジャンホ監督は、韓国映画界で長いキャリアを持ち、社会的なテーマを鋭く切り取ることで知られています。「バボ宣言」では、彼の斬新な視点と大胆な演出が光り、社会の矛盾や不条理を強烈に表現しています。

    この映画は、検閲の厳しかった時代に作られたにもかかわらず、その中での精緻な表現が評価され、後に映画評論家や観客から高く評価されることとなりました。1988年にはベルリン国際映画祭のフォーラム部門で上映され、国際的にも注目を集めました。

     

     

    出演者について

    イ・ボヒ(ヘヨン役)は、1980年代の韓国映画界で一躍有名となった女優で、この作品でもその存在感を強く示しています。彼女が演じるヘヨンは、社会の底辺で生きる中で、自分のアイデンティティを模索する複雑なキャラクターです。

    キム・ミョンゴン(ドンチル役)は、「ソピョンジェ」での役で知られる実力派俳優であり、この作品では社会に疎外された青年の絶望と悲しみを深く演じ切りました。

    イ・ヒソン(ユクドク役)は、ユーモアと悲哀を同時に持つキャラクターを表現し、観客に強い印象を残しました。

    映画音楽

    映画の中で使用されている音楽も特徴的で、ヘンデルのオペラ「リナルド」からの楽曲が印象的に使われています。クラシック音楽の荘厳さと、登場人物たちの絶望的な状況との対比が、この映画の独特な雰囲気をさらに強調しています。

     

     

    視聴リンクと字幕情報

    「バボ宣言」は、YouTubeで無料視聴が可能です。残念ながら日本語字幕はありませんが、英語、マレー語、ベトナム語、アラビア語、イタリア語、インドネシア語、タイ語、韓国語の字幕が利用できます。

    YouTube視聴リンク: https://youtu.be/K4djhhewVJg?si=qqvF3nUDPd-JHAU7

     
     
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